プルート
始めは手塚治虫の原作に比較的忠実であった本書も、巻を重ねるにつれて「浦沢色」が濃くなってきました。
もっとも、手塚治虫版では結構あっけなく倒されてしまうゲジヒトが主人公なところで、既に十分原作とは設定が異なっているわけですが。
さて、今作では、”アトムの死”の真相が語られます。
ですが…
残念ながら、原作、しかも日本一のヒーロー、「鉄腕アトム」が元ネタだということが、今後の展開へ非常に障害になってしまいました。
もし、これが元ネタ無しなら、「アトムの復活」がどのようになされるかが物語の重要な要素になったことでしょう。
アトムはゲジヒトの敵になるのか味方になるのか。
作者、浦沢は最後の瞬間まで読者に展開を読ませず、ハラハラさせてくれたことでしょう。
しかし、彼は「鉄腕アトム」です。
プルート側にまわることは許されません。
物語に深みを与える大きな要素を封印されたまま、浦沢は筆を進めなければなりません。
いっそ、完全なオリジナルだったら…
このクオリティなら、オリジナルでも十分おもしろかったと思うのですが。
非常によくできている作品だけに、残念でなりません。